こんにちは。
渡辺果樹園の代表 渡辺康弘です。

今年は、メルマガを始めたり、ブログを開設したりと、お客様や当園に興味を持っていただいている方々に、いろいろな情報を届けることに力を割いています。

もちろん果物を育てることには手を抜かず、時間の空いている限りではありますが、少しづづ当園のこだわりや歴史などをお届けできている実感が出てきました。

しかし、当園の中心的な果物であるルレクチェについては、全国的には知名度が高いとは言えない状況もあり、もっとルレクチェの美味しさや魅力などを伝えていきたいと考えて、一つの企画をスタートすることとしました。

その名も、

「ベテラン果樹農家がIoTを使ってみた:ルレクチェの追熟をデータで追う」

です。

企画のきっかけ

現在渡辺果樹園では、新潟県三条市の「農業者経営体質改善取組支援(農業の一番星)事業」の取り組みの支援を受けて、茨城県の有機栽培農家である久松農園の久松達央氏から、日々の業務改善やお客様とのコミュニケーション向上などについて、アドバイスを受けています。

久松達央さん

メルマガやブログはその取り組みの一環なのですが、久松さんからアドバイスを受けている中で、ルレクチェをもっと知ってもらうための取り組みとして、

「ベテラン果樹農家である渡辺氏とIoT技術を駆使するチームで何かを競うといったことをブログで公開してはどうか?」

というアイデアが飛び出し、『変態系新し物好き』である渡辺家の血が騒ぎだしたのです。

そして、ルレクチェの大きな特徴である、収穫してから食べごろになるまで約40日ほどかけて熟成させる【追熟】についての対決とすることを決めました。

渡辺果樹園への挑戦者:「キントーン」チームの選出

そこからは挑戦者として、誰と対決するのかということを検討し始めました。

久松さんにもぜひ挑戦してもらうという流れではありましたが、久松さんだけではなんとなく内輪での対決といった感じになってしまうため、他に適任者がいないかと記憶をたどっていくと、いましたよ素晴らしい適任者が。

声がけしたのは、複業家(一つの会社にとらわれず、いろいろな組織でを支援する働き方を実践されています)として、ご自身でも、NKアグリ株式会社の社員としてもIoTを駆使した農業を実践し、全国各地の農業のIT化を支援されている「中村龍太」さんです。

画面右端の赤い服を着たのが龍太さん(昨年当園に見学にいらしたときの写真です)

 

龍太さんはサイボウズというIT企業にも所属しており、「キントーン」という組織内での情報共有やコミュニケーションを促進させる仕組みを使って、畑の様子をセンサーで取得し、関係者に共有し、農家の収入を維持、向上させるという活動を行っています。

龍太さんは、たまたま昨年当園に見学にいらしたこともあり、久松さんとも面識があったことから、追熟対決への参画を打診したところ快諾していただけました。

そして、龍太さんだけでなく、新潟県長岡市に在住の「星野 智久」さんもご紹介いただきました。

センサー設置の際の星野さん(右側が星野さん。二人とも光の加減で少し笑顔が怖いです)

 

星野さんは、長岡に住みながら東京のIT企業「株式会社ジョイゾー」に所属し、キントーンを使ったシステム構築などを通し、場所にとらわれない働き方をされているIT技術者です。

これでキントーンチームが以下のような役割で、参戦いただくことが決まりました。
龍太さん:農家としての経験、農家のIT化支援の経験
星野さん:センサーの設置やセンサーと情報共有の仕組み「キントーン」との連携

このように、ベテラン果樹農家「渡辺果樹園」vs IoTを駆使する「キントーン」チーム vs 有機野菜農家としてのプライドを掛ける「久松さん」という3つ巴の戦いが始まることとなりそうだったのですが。。

追熟のノウハウを守るために企画変更

さて、では具体的にどやって対決していくのかといった話を進めようとしたところ、一つ課題が浮かび上がってきました。

今回の対決を実施するにあたって、挑戦者の方には、おおよその積算温度の目標数値など、追熟を進めるためのノウハウを共有する必要が出てきます。

しかし、ルレクチェの追熟に関するノウハウは、私だけでなく県内の多くの方が長年掛けて作り上げたものです。

そのノウハウが一部でも外部に流出してしまう可能性のある企画は問題があるのでは、といった話が出てきて、一旦企画が暗礁に乗り上げてしまいます。

そこで、あくまで渡辺果樹園の中で、個人の経験に基づく追熟の工程をセンサーなどを使ってデータ化し、今後の追熟に活かしていくという企画に変更することとしました。

そのため、キントーンチームは、渡辺果樹園の追熟のデータ化を支援する立場に、久松さんは、ノウハウなしで追熟を進めるとどんなことになってしまうのか、といったある意味対照実験的な位置づけ(ノウハウなしの状態で追熟を進めるとどうなるのかを見るため)という立ち位置になったのです。

最終目標は経験とIT技術の融合

さて、今回は、対決企画→IT技術の活用企画という変遷を経ることとなりましたが、実は、個人的な目標としてはあまり変わりはありません。

対決を通してルレクチェのことをもっと知ってもらうということ以外に、私としては、個人の経験とIT技術を融合して、皆さまによりおいしい状態でルレクチェを届けるということが最終目的であるからです。

龍太さん、星野さんの協力を得て、渡辺果樹園内に温度や湿度などを測るセンサーなどを設置いただいています。

設置されたセンサー
5分ごとに温度を計測
センサーでの計測結果が自動集計されるグラフ

 

センサーでの計測数値などを見て、今後に活かし、さらにルレクチェの熟成についてのレベルを上げていきたいと考えています。

今後の予定

熟成中のルレクチェの様子などは、Facebookで公開していますし、追熟の計測結果などは、別途ブログで公開予定ですので、楽しみにお待ちください。